朝木大統、朝木直子、矢野穂積の三名が、創価学会の池田大作名誉会長、秋谷栄之助会長他一名並びに東京都(代表者知事・青島幸男)、千葉英司・東村山警察署副署長、西武線東村山駅前の洋品店「スティル」の経営者の妻・戸塚節子さんを、八月七日に東京地方裁判所(民事)に訴えた。原告となった朝木大統、朝木直子は東村山市議会議員であった故・朝木明代の夫と娘、矢野穂積はその仲間の市議である。
しかしこれほど道理に反した訴訟は、類を見ない。この訴訟は朝木明代の犯した万引き事件を隠蔽し、かつ正当な反論をしてきた創価学会に対し名誉毀損の罪を着せようというものである。
ではまず、このたびの訴訟の不当性に言及する前に、朝木明代が犯した万引き事件から死に至るまでの経過について簡略に説明しておく。
昨年六月十九日、西武線東村山駅前の洋品店「スティル」で一人の女性が万引きをした。店主の妻がそれを見とがめ店から出た犯人を追い詰問。犯人は腋の下に盗んだシャツを隠していたが、問い詰められた際、そのシャツがポロリと道に落ちた。だが万引き犯はそれでも、
「知らないわよ」
と開き直り逃げた。すぐ「スティル」の店主が警察に被害届を出した。店主の妻は、万引き犯が東村山市の市議である朝木明代であると明言。警察の捜査は当然のことながら、数日経って朝木明代に及んだ。
ところが朝木明代は、万引き事件のあった六月十九日午後三時頃は、同僚の市議・矢野穂積(今回の民事訴訟における原告の一人)とレストラン「びっくりドンキー」で食事していたと主張。だが警察の捜査で、もろくもこのアリバイは崩れてしまった(詳細後述)。
朝木明代に改悛の情なく証拠湮滅の疑いもあると判断した東村山警察は、犯情悪質と判断し東京地検八王子支部に書類送検。検察は九月五日に朝木明代を地検に呼び、取り調べる予定であった。だがその前の同月三日に朝木明代はビルより転落死した。
死の模様をもう少し正確につづると、朝木明代は二日午後十時三十分頃、「モスバーガー東村山店」の店長に発見されたが、助けを頼む様子もなく、逆に、
「大丈夫です」
とハッキリ答え、
「落ちたのですか」
との店長の問いにも、
「いいえ」
と明確に答えたという。だが地面には直径五十センチほどの血だまりができており、すぐさま警察に連絡。その直後、朝木明代は意識不明となった。三日午前一時頃、救急車で運び込まれた防衛医大病院(埼玉県所沢市)で死亡。
その後、朝木明代が長年にわたり創価学会批判を続けていたことから、創価学会に朝木明代謀殺の嫌疑をかけるかのような週刊誌の報道が相次いだ。なかでも悪質であったのは、『週刊現代』(九五年九月二十三日号)。そのタイトルは、
「夫と娘が激白! 『明代は創価学会に殺された』」
という悪質なもの。記事の中で朝木明代の娘である朝木直子(今回の民事訴訟における原告の一人)が、
「創価学会はオウムと同じ」(『週刊現代』九五年九月二十三日号)
「自殺したように見せて殺すのです。今回で学会のやり方がよくわかりました」
と語り、夫の朝木大統(同原告の一人)もまた、
「妻が万引き事件で逮捕されたことも、学会におとしいれられただけ。万引き事件で悩み、それが原因で自殺したというシナリオを作ったんです。だとすれば、まるでオウムのような犯罪じゃないですか」
と創価学会が謀殺したと述べている。
創価学会は、この『週刊現代』の記事を「悪質極まる中傷報道」であるとして、名誉毀損で『週刊現代』編集長・元木昌彦、夫・朝木大統、娘・朝木直子を九月十二日に警視庁に告訴した。
そして創価学会の秋谷会長は『聖教新聞』(同年九月二十一日付)掲載の「質問に答える」において、この『週刊現代』に掲載された朝木直子のコメントについて、「耳を疑うような学会中傷」
「何の確証もなしに、こんな荒唐無稽の『シナリオ』をつくって、何の関係もない学会を『人殺し』呼ばわりするとは、迷惑千万極まる話です」
と反論した。
さて唐突に今度、朝木大統ら三名が創価学会側を民事訴訟に訴えてきた理由は、この『聖教新聞』掲載の秋谷会長の反論が名誉毀損にあたるというのである。ここで「唐突に」と書いたのは他でもない。創価学会側の反論が不当であるというのなら、創価学会が『週刊現代』や朝木父娘を告訴した昨年九月に、誣告罪あるいは名誉毀損で告訴しかつ民事でも訴え創価学会に対抗すれば良かったのである。それをいま頃になって、刑事告訴はせず民事のみで争おうとするのは、単にプロパガンダを目的にしているとしか思えない。
しかも奇妙なことに、朝木父娘らは今度の「訴状」の中で、朝木明代の死について、
「創価学会はオウムと同じ」
「自殺したように見せて殺すのです。今回で学会のやり方がよくわかりました」
「妻が万引き事件で逮捕されたことも、学会におとしいれられただけ。万引き事件で悩み、それが原因で自殺したというシナリオを作ったんです」
と、
「発言した事実は、一切ない」
としている。ということは『週刊現代』が嘘の記事を書いたことになるのだが、それであれば朝木父娘らはその『週刊現代』の発売された時、その発行元の講談社と同編集部に正式抗議し、訂正を求めて法的措置をとるべきであった。それをせずにおいて、一年近くも経て創価学会にあたり散らすとは、いったいどういう神経の持ち主であろうか。
昨年九月に創価学会が告訴した時、『週刊現代』の元木昌彦編集長は、
「事件の関係者や肉親への取材に基づいてリポートしたもので、内容には十分な自信をもっている」
と公式にコメントしていたが、朝木父娘は、
「発言した事実は、一切ない」
と今度の裁判所提出の「訴状」において明記している。つまり『週刊現代』編集部がデタラメを書いた、従って創価学会から告訴されている名誉毀損の罪は『週刊現代』一人でかぶれということになるのだが、元木編集長はどのように対処するのであろうか。もし元木編集長の先のコメントが真実であるのなら、朝木父娘らに創価学会攻撃に利用されポイ捨てされたことになる。
さてこう考えてくると、今度の提訴が『週刊現代』を舞台とする名誉毀損の罪を免れようとする朝木父娘の悪あがきである可能性は否めない。
ともかく朝木・矢野らのグループは、あくどくかつしつこい。
今度の「訴状」の中に、
「原告矢野穂積は、『万引未遂事件』に関して、アリバイ工作の事実はなく、『万引未遂事件』はなかったと信じるに足る客観的事実を知っている」
と書いてある。しかしながら矢野は万引き事件後、
「朝木さんには完璧なアリバイがあります。犯行時の午後三時頃は、私と府中街道沿いの『びっくりドンキー』というレストランで食事を取っていました」(『文藝春秋』九五年十一月号)
と発言している。ところがわが自由勝手連のメンバーが本年一月に「びっくりドンキー」の四十栄秀隆店長に直接取材したところ、
「問題になっている六月十九日に朝木さんを店内で見た従業員はいません。朝木さんはそれまでもよく店にいらしてましたから、いらっしゃれば覚えています」
と明言したのである。さらに驚いたことに、朝木らのアリバイ工作をうかがわせる証言を、四十栄店長はしたのであった。
「警察の方が朝木さんが警察に提出した領収書のコピーを持ってこられましたが、その領収書のコピーは後日、私どもで朝木市議に渡したものです。朝木さんが万引き事件のあった六月十九日からだいぶ経ってから、店に訪ねてこられ、『その日に店に来たから領収書をくれ』とおっしゃるので、『何を食べられましたか』と聞きましたが、『おぼえていない』と言われたので、発行した領収書の控え一覧を見せたら、『これだ』というのでコピーをとって差し上げたのです。警察の方が持ってこられたのは、そのコピーです」
朝木明代は、万引き事件後に領収書のコピーを「びっくりドンキー」より貰って帰り、それをアリバイの証拠として東村山警察に提出していたのだ。だがそれが朝木明代にとって致命傷となった。
その領収書のコピーに記載された時刻、その席には朝木、矢野ではなく別の二人の女性が座っていたのだった。かつ朝木市議が警察に食べたと供述した料理は、午後三時(万引き事件のあったとされる時刻)には売り切れていた。朝木のアリバイはまったくのウソであったのである。
このことは、万引き事件の起きた時、矢野が「びっくりドンキー」で朝木と一緒にいたとするアリバイ証言もまたウソであったことを示す。
このように「びっくりドンキー」の店長を取材するだけで、矢野がアリバイを偽装する片棒を担いだことが判明するのである。すなわち「アリバイ工作の事実はなく」とする「訴状」の記載はまったくのウソということになる。
朝木父娘、矢野らは、万引きした朝木明代を見つけた洋品店「スティル」店主の妻をも、このたび訴えている。自分たちに不都合な証言をする者は、事の正否に関らず訴えるようである。次は朝木明代が矢野と組んだアリバイを否定する「びっくりドンキー」の店長も、被告の座にすわらせるのであろうか。
最後に、朝木、矢野らが改悛の情を湧かせることもなく、非道の上に非道を重ねているのは、マスメディアの一部が万引き事件、転落死事故の矛先を無責任に創価学会に向けたことが大きな原因の一つであると指摘しておきたい。悪事をおこなった者が言い逃れのために創価学会を引き合いに出すと、それを興味本位に扱い、正邪顛倒させ創価学会に切っ先を向ける。凶器と化したマスメディアが、狂気を醸成しているのである。
