現在、日蓮正宗の各教区ごとに宗務当局に対する「要望書」がつくられている。
「要望書」の内容は、ほぼ共通していて、創価学会総体に対する「講中解散」などの処分、創価学会首脳に対する「破門処分」「御本尊下附の停止」、そして、「親学会派僧侶の処分」などである。この「要望書」に、各末寺住職は次々と署名捺印をしている。
それにしても、不可解な署名捺印運動である。創価学会処分は、もともと日顕および宗務院が目論んできたことだ。
日顕は昨年(平成二年)の夏、池田名誉会長に対して、「懲罰にかける」という発言をしているが、その直後には、創価学会解体をめざした「C作戦」の立案を完了し、ひそかに創価学会攻撃の機をうかがっていたのである。そして、池田名誉会長の11・16発言を口実に、創価学会攻撃の火ぶたを切ったのだ。
それ以降、池田名誉会長の総講頭罷免、添書登山の実施など、すべて日顕の指示で進んできた。ところが、最後の創価学会処分の段になって、全国の末寺住職が創価学会処分を宗務院に要望する形式を踏ませている。
「要望」などしなくても、日顕は創価学会処分をしたくてたまらないのだ。改めて「要望」する必要などないだろうに……。
本紙『地涌』(第292号)でも指摘したように、去る十月十五日に、大石寺東京出張所(東京都文京区西片)で重役会が開かれ、創価学会処分に対する基本的な決議がなされている。日顕が、創価学会処分について内心では消極的な早瀬日慈重役に、前もって合意を取りつけておこうとしたのだ。事前の根回しであり、裁判への布石でもある。
この件を本紙『地涌』がスッパ抜いたことで、宗門中枢は相当に動揺している。犯人捜しなど無用なことはやめるべきだ。創価学会処分のために、どんなに欺瞞的な手練手管を弄して宗内工作をしようとも、裁判になれば、かならず白日の下にさらされる。日顕の陰謀が裁かれるのは必定である。
重役会で早瀬重役をうまく封じ込めた日顕は、次は宗内全般への工作を開始した。その発端として、十月十七日に全国教師代表者会議を開いたのである。代表者会議では、あらかじめ決められていた六名が、あたかも自主的な発言をするかのように挙手をし、それを司会が定められたとおりに指名して発言させた。
六名は口々に、「創価学会の解散勧告」「講中解散」「創価学会首脳の処分」「御本尊下附の停止」などを主張した。
この全国教師代表者会議は、末寺住職らの希望で開かれたという建前をとっているが、実態は宗務院が創価学会処分をするために、宗門の下からの意見を吸い上げて処分決定をしたとするための偽装工作だった。まさに、猿芝居と呼ばれる所以である。
創価学会処分は、もともと日顕の心の中にあり、その意を汲んだ宗務院が動いて、10・15重役会で形式的に首脳の意思一致をはかり、10・17全国教師代表者会議で、あらかじめ選ばれた六名が創価学会処分を宗務院に要望し、それを受けて、いま全国の教区で宗務院に創価学会処分を求める「要望書」への住職の署名捺印が進められている。
しかし、創価学会処分の不当性を訴え、署名捺印をしない僧侶たちもいる。
愛知県能顕寺の串岡雄敏住職は、創価学会大野副会長宛の書簡を教区内に配り、不退転の意志表示をしたようだ。串岡住職から創価学会大野副会長へ宛てた書簡は次のようなものであった。
「大野副会長様
大快晴の中、池田先生をお迎えすることができまして、誠におめでとうございます。太陽の仏法たる大聖人の正法を自行化他に実践している故に魔が競っていますが、大悪起れば大善来るの御金言の通りであると存じます。小生も微力ではありますが、大聖人様の正義を護るために戦ってまいります。
今回宗門は理不尽にも学会を処分する暴挙に出る準備をすでに用意しています。断じてこれを許す訳にはまいりません。心ある御僧侶と共にこれに戦います。
『愛する創価・偉大なる中部』の中部文化友好祭、そしてSGI総会の御成功と勝利を心より確信致しまして、御祝の言葉とさせていただきます。
能顕寺住職 串岡雄敏」
この書簡を『地涌』編集部が入手することができたのは、書簡のコピーをそのまま掲載した怪文書が、宗内の各方面に配られたからだ。怪文書をそのまま掲載紹介するのは心苦しいが、不当な創価学会処分に抗している僧侶に対し、日顕派の僧がいかに卑劣な攻撃をしているかを知ってもらうためにもと思い、ここに全文を紹介する。
印鑑押さない、学会僧、雄敏!
雄敏、君は一日も早く恋しい恋しい、学会様様へ戻れ!!
宗門はオマエの様な学会僧は必要ないのだ。
右の文章を、教区の僧侶方へ配ったそうだが、学会僧そのままではないか!
オマエ自身「愛する創価・偉大なる中部」と発言、オマエは重症だ。
衣を一日も早く脱いで、郵政省の雄敏配達でもしろ!!
文は稚拙だが、串岡住職に対する敵愾心は実に露骨である。先に紹介した串岡住職の書簡と、この怪文書を見比べれば、人間としての勝劣は明らかである。法主である日顕が狂ったことにより、それに連なる宗内のほとんどの僧が狂っているのだ。
そうした状況のなかで、創価学会処分が不当だとして署名捺印をしない僧侶たちがいることは、仏子たちにとってなににもまして心強いことである。また、日蓮正宗の法脈が、完全に濁っているわけではないことも認識されるのである。
将来、日蓮正宗が蘇生するにあたって、大きな役割を果たす僧侶たちである。本紙『地涌』で確認できた署名捺印を拒否している僧侶は、次の方々である。
秋田県 妙貴寺住職 岡崎雄毅
東京都 長栄寺住職 工藤玄英
東京都 長栄寺内 宮川雄法
静岡県 大石寺大坊内 菅野谷道
愛知県 能顕寺住職 串岡雄敏
滋賀県 世雄寺住職 池田託道
京都府 顕仏寺住職 吉*川幸道
和歌山県 大照寺住職 大橋正淳
このほかにも、数名の僧侶が署名捺印を拒否しているようだ。
署名捺印を拒否している僧侶に対し、狂える日顕がどのような謀計と圧迫をおこなうのか。各僧侶とも覚悟の上のことだろう。それにつけても、日蓮大聖人の仏法を第一義として、わが身も顧みず、仏子らの擁護に僧侶が決然と立ち上がったことに、宗開両祖も大いに喜ばれているのではあるまいか。
これから先、各僧侶は日顕らによって妻子眷属とのあいだを断ち切られるかもしれない。あるいは、妻子眷属への情を利用して、退転を迫られるかもしれない。しかし、妻子の情を断ち切り、日蓮大聖人の仏法に生涯を懸ける……。これこそ、真の出家ではあるまいか。
「定めて日蓮が弟子檀那・流罪・死罪一定ならん少しも之を驚くこと莫れ方方への強言申すに及ばず是併ながら而強毒之の故なり、日蓮庶幾せしむる所に候、各各用心有る可し少しも妻子眷属を憶うこと莫れ権威を恐るること莫れ、今度生死の縛を切つて仏果を遂げしめ給え」(弟子檀那中への御状)
【通解】かならずや、日蓮をはじめ弟子・檀那が死罪や流罪になることであろう。すこしもそのことに驚いてはならない。諸方へ強い言葉で(諫状を)書き送ったことは言うまでもない。これも而強毒之(正法を信じない者に、強いて説いて仏縁を結ばせること)のためなのである。その結果については日蓮は覚悟している。あなたがたも用心しておきなさい。少しでも妻子眷属のことを思って(臆病になっては)ならない。権威を恐れてはならない。いまこそ(信心を貫いて)苦悩の人生を断ち切って、成仏を遂げるべきである。
法義を曲げる天魔の所為に、一切をなげうって戦う僧侶たちがいることは、日蓮大聖人を末法の御本仏と仰ぐ仏子ら全員の誉れである。
